シカール報告書

 12月18日、シカール報告書がフランソワ・オランド大統領のもとに提出された。終末期医療にかんするフランス流の解決法を模索しながらまとめられたものだ。ルモンドの記事によれば、報告書は、医者ではなく市民の希望や期待が尊重されるべきであるという方向性を鮮明にしていて、はっきりとは勧めていないものの、快復の見込みがない病人に致死量の薬物を与える自殺幇助(suicide assisté)の可能性を検討する道を開いているようだ。他方、いわゆる積極的安楽死(euthanasie active)については、一線を越えることになってしまうとして退けられているとのこと。
 報告書の執筆を委託された国立倫理諮問委員会(CCNE)元会長ディディエ・シカールは、7月18日付のルモンドのインタビューでは次のように述べていた。「私たちの文化は、北と南の文化のあいだにありますが、フランスでは双方の極端な回答を勧めることになりました。つまり、要求に応じて死を与えようとする考えがある一方、どこまでの生命を維持しようとする考えもあるのです。もちろんベルギー、オランダ、スイスなど、安楽死や自殺幇助を認めている国々の経験は興味深いですし、近くでじっくり観察する必要があります。しかし、フランスの文化はそれとは違うという事実を忘れてはいけません」。
 報告書を受けて、患者または家族の要求を受けて治療停止をしたあとの最期の時間を尊厳あるものにするための法律が、来年6月に法案となって提出されるようだ。