大いなる時差ボケ

ダンナ様より一足お先にリールに戻ってきた。懸案だったコンセルヴァトワールの先生との面接も無事に果たせ、レッスンの日取りも決まって、予定を切り上げて早めに帰ってきた甲斐もあったかなと少しほっとしている。
一番気になっていたことが片付いたので、後は2,3日特に緊急の用事もなく、チェロを弾いてフランス語をなるべく読み、日本人学校の授業の準備をして、来るべき10月に備えるというのが今後の過ごし方なのだが、いざ取り組もうとすると、身体の方がまだ万全ではなく、午前中順調に飛ばしたら午後にはひゅーっと「ドド」が来て(大いなる眠気のことで、これが襲ってくると眠らないわけにいかない。大西家の言葉)、まいっかと思ってちょっとのつもりで眠ってしまったら、起きたら真夜中の様子。3日目にして、ああ、やってしまった!と思ってひょこひょこメザニンを降りたら、まだ夜の9時だった。夜の時間がかろうじて残っていたことに少し安心するが、生活のリズムをきちんとしたいと思っていただけにくやしい。とはいえ眠るのはやっぱり大事で、飛行機での疲れも大きく関係するのだろうが、眠るたびに体力と気力が戻ってくるのがよくわかり、初日はフランス語を読む気もせず、ひたすら日本語の本を読んでいたが、一晩寝たらチェロを弾く気もフランス語を読む気も起こり、そして今回起きたら、ブログの更新にすっと取り組んでいるというわけだ。

馬上少年過ぐ (新潮文庫)

馬上少年過ぐ (新潮文庫)

昨日読んだ本。表題作は、伊達政宗の若い頃を書いたもの。何か政宗関係の歴史小説はないかな〜、と言っていたら、弟が貸してくれた。
―寝ている間、不思議なことに某Yギャラリーの皆さんと、Yさんに率いられて、謎の邸宅に侵入するという(しかも用事はただの訪問)夢をずっと見ていた。夢というのはおかしなもので、その日本屋敷の裏庭からこっそり侵入しておいて、その邸宅のご主人に「会っていこうか」というのだ。Yさん曰く、「君はまだ会ったことがないだろう」と。どうやらそのご主人も美術関係の大御所らしい。その大御所のせりふがなかなか面白かった。「最近は繊細な立体を造る人が多く増えている」と。でその「繊細な立体」の例として見せて下さったのが、夢の中では感心して見てたのだが、どうも思い出すと中学生が美術の時間に作ったようなもので、大御所はそれを見せながら、見るに値する新しいものは十分にあり、固定観念に捉われて批判的になってはいけないよ、と説いているわけなのだが、思い出すにつけてどうも説得力がない。私の美術センスがその程度ということか?!
しかしこの夢で、私は丁度一年前の状態に戻っていたわけで、時差ぼけの生む効果は不思議なものだ。夢で過去に戻ることはよくあるけれど、今回の戻り方はあまりに唐突でしかも現実との接点がなかった。普通は感情的な接点や、何か思い出すことがあったりするものだけれど。「下っ端」で「できの悪い」自分が、懐かしくもあり、苦しくもあった。
カヒミ・カリィが以前に雑誌か何かで、「寝たいときに寝て、起きたいときに起きるのが私には合っている」と書いてて、さもありなんと思ったのだが、彼女も案外フランスと日本の行き来に忙しく、時差ぼけが慢性化しているのではなかろうか?ところで食い気の方はなかなか起こらない。それをいいことに、あまり多く食べずに済まそうと思っていたのだが、習慣の力は恐ろしいもので、昨夜はしっかり食べ過ぎて、また胃拡張ぎみだ。久しぶりに料理をして、しかもリールで一人分を作るのは初めてだったので、目分量を間違えたせいもあるけれど。食べたのは簡単に作れるシュークルート。二人で気に入っているモンベリヤールのソーセージがマッチで安く手に入ったから。この様子じゃ、どうやら今晩もそれになりそうだ。(ふ)