2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧

漱石『行人』

ここのところ生活が比較的宵っ張りで、なかなか寝つけないのをいいことに、漱石の『行人』を読み返した。 今から7、8年ほど前の話になるが、明治後期・大正期の知識人の宗教観に関心を抱くところから、そもそも私の研究生活らしきものははじまったので、漱…

思い出のお好み焼き

一昨年の今頃、出向先での仕事が本当に大変で、身も心も一杯一杯になっていたとき、丁度弟が同じように大阪の会社に出向になって、私の仮住まいだった神戸のほうまで遊びに来たことがある。本当に、身近な人との会話に飢えていたのだろう、弟と出歩けるのが…

記事クリップ――ベネディクト16世の教皇勅書

ベネディクト16世が1月25日、教皇になってから初めての教皇勅書「デウス・カリタス・エスト」(神は愛なり)を発した。ラツィンガー枢機卿時代はハーバーマスと対談したこともあるなど知的で哲学的なことで知られる教皇だが、ある意味で彼らしく「愛」という…

パエリアを作った

ここのところ半年くらい、料理はほとんど家内に任せっぱなしだが、別に自分で料理するのが嫌いだとか苦手だとかいうわけではない。渡仏して1年目は、ラルースのCuisine facileという図鑑みたいな本を買って、フランス語の勉強を兼ねながら一品一品レパートリ…

フランス19世紀中葉の宗教的社会主義

(ふ)のお母様も無事に帰朝なさり、私たちの長かった冬休みにもそろそろいい加減終止符を打たなければならない今日この頃、どうもなかなかエンジン再始動のきっかけがつかめずにいたのだが、今日何となく最初の感覚があった。 つまっていたのも理由がないわ…

モンテヴェルディ、聞かずに語る 2

モンテヴェルディという作曲家は、ルネサンス音楽からバロック音楽への転換点に位置すると言われる。フィリップ・ボッサンの著作『モンテヴェルディ、オルフェオの歌』では、モンテヴェルディが1607年に発表した初のオペラ「オルフェオ」がまさにそのルネサ…

ブリュージュの風格――世紀末の場合

ブリュージュに出かけてきた。中世最強と言われたブルゴーニュ家の繁栄の面影をとどめた古都ブリュージュ。ファン・アイクの精緻な技法が何らかの回路を通って細かく編まれたレースに連なっていきそうな街ブリュージュ。メムリンクの静謐な祈りを、今でもと…

モンテヴェルディ、聞かずに語る 1

デカルトの大家、ジュヌヴィエーヴ・ロディ=ルイスの著作に、『芸術への眼差し(Regards sur l’Art)』という、芸術とデカルト哲学あるいは彼女の思索をからめた短い論文が集まる一冊がある。目次に並ぶタイトルだけでも、「プラトン、ミューズと美」「デカル…

勇気と幸福(アラン)

フランスの正月が日本の正月のようにのんびりした感じでないというのもあるし、「ふ」がレポート・モードで頑張っているのを横目で見ながら年越ししたということもあるのか、今年はとりわけ新年を迎えたという感慨が薄い。昨日こちらと似たような境遇のリー…

遅ればせながら新年バトン

遅くなっちゃいましたが、 あけましておめでとうございます。 どうぞ今年もKIYONOBUMIEをよろしくお願いします・・・ なんて、ブログでの挨拶って何か微妙な感じですね!さて年末からモンテヴェルディのレポートに掛かりっきりで、31日におせちを作った以外…