2006-01-01から1年間の記事一覧
日本ではもう新年が明けた時間で、こちらでも2006年は残すところいくらもない。今年を振り返ってみて、とにかく早かった。去年の今頃のことを思い出してみると、1年も前のことという気がしない。 本業の方で、目に見える成果は、あまり出していない。学会・…
ミシェル・トゥルニエの『7つのコント』に入っている、「メール・ノエル」という短編をご存知だろうか。 物語の舞台には、20世紀初頭という時代、そして教権主義と反教権主義が正面から争っているフランスの小さな村という場所が選ばれている。私が一応専門…
娘が6ヶ月になりました。3ヶ月くらいのときは、ガラガラなどをこちらから持たせてみようとしてもポロリポロリと落としていたのに、いつの間にかしっかり握れるようになりました。今では、目についたものを取りに行く意志が感じられます。それが掴めたなら、…
かつて朔太郎の歌ったあまりに有名な「ふらんすはあまりに遠し」は、飛行機や電子通信網のおかげですっかり時代遅れになった感もあるが、案外そうではないのかもしれない。戦後アメリカべったりで来た日本は、この5年くらいでさらにリベラルな右旋回を遂げ…
社会党がロワイヤルで早くも一本化したのを見て、サルコジは大統領選出馬の正式表明を予定よりも少し急いだようだ。こういうところの嗅覚も冴えているというか何というか。話題をサルコジに持っていかれすぎないように、などと思っても、まったく大したこと…
ここのところ寝る前に幸田文の『闘』を読んでいて、それが読み終わった。いつかおひるね堂さんが日本から持ってきてくれた文庫本のひとつで、今まで手をつけていなかったものだ。結核病棟を舞台にした小説で、様々な患者と医者や看護婦のやりとりを追ってい…
11月の恒例行事シテ・フィロも今日が最終日。家事・育児に追われてフィロソフィどころではなかったけれど、最終日の今日、ゲストがドゥルーズについて書いている人だったのもあって、夫が行ってきなよ、と快く背中を押してくれた。慌ててまあちゃんにおっぱ…
最近よくタイトルに踊らされている私、である。この前は、「ロラン・ファビウスがライシテ憲章採択を賞賛」にやられた。今回は、イヴ・デロワの論文の中に「religion civile versus laïcité « à la française »」(市民宗教対≪フランス流ライシテ≫)「l’impos…
「宗教」を理解しようとする学問は、その対となるものの理解にも努めなければならないはずである。−−タラル・アサド Formations of the Secular: Christianity, Islam, Modernity (Cultural Memory in the Present)作者: Talal Asad出版社/メーカー: Stanford…
こんなタイトルがル・モンドに踊っていたので、えっと思った。読んでみると、こうした憲章がもう採択されていてそれを称えているとかいう話ではなくて、もし大統領に選出されたら、という仮定の話。 社会党の党内選挙を前に、やや旗色が悪く見えるロラン・フ…
リールの11月の恒例行事、シテ・フィロがはじまった。今年で10回目を数えるこの催物は、その設立者のひとり、ジルベール・グラスマンによれば、大学での「コロック」のように専門家同士(およびその道を志す学生)の議論の場でもなく、街の「カフェ・フィロ…
11月3日に「北フランスおよびベルギー諸州における16世紀から今日までの宗教と教育」というコロックがリール第三大学で開かれるのだが、なんと今回そこで発表をすることになっている。 フランス語で学会発表するのは4回目だが、うち2回は東京での国際学会で…
テーズを少しでも進めるといういつもの課題に加え、論文原稿やら口頭発表やらを抱えていて、おまけに新学期の手続きでいろいろ振り回されるといった具合で忙しく、とても飲みに行けるような状態ではないのだが、前からの約束だったもので出かけてしまった。 …
今月の頭にトゥールーズで行われた研究会では、死生学という切り口で、辻邦生の文学を読んでみるという試みをやってみたわけだが、もしこれを一回きりのイベント発表にするのではなく、何らかの形で後にもつなげていこうとするなら、テキスト内在的な読解で…
私のテーズの審査員のひとりになるかもしれないジャン=フランソワ・シャネ先生と今日初めてお会いした。リールの指導教官のプレヴォタ先生から会っておくとよいとヴァカンス前から勧められていたが、「でもシャネさんは今年アグレガシオンの担当だから忙し…
トゥールーズで死生学のコロックがあった。2月に東京で行われた同様の会議の延長にあるもので、日仏の若い研究者を中心とした、死にかんする研究のワークショップだ(私はフランスのだけに参加したが、日本からの参加者の多くは、ドイツのチュービンゲンで行…
すでにShiba氏のブログでも取り上げられているが、9月27日、過去にフランスのために戦った旧植民地出身の退役軍人や傷痍軍人に対する恩給をフランス人と同額にすることが決められた(ル・モンドの記事はこちら)。 これまでは、旧植民地出身の退役軍人・傷痍…
出発前に予告しておく暇がなかったけれども、9月7日から24日まで日本に一時帰国していました。 主な目的は、学会発表と、3ヶ月の娘を親戚や友人に見てもらうこと。あわよくば、論文も進めたいと思っていたけれども、予想通り一行も進められず。日本語の本も…
もう何日か前の話になるが、夫が本当に楽しそうな様子で、「今ね、まあちゃんが、デロンギ!って言ったんだよ」と言って笑っていた。デロンギ、というのは昨年の冬に私があまりの寒さに耐えかねて、実家に寒い寒いと電話でこぼしていたら、まあちゃんのおじ…
娘もようやく2ヶ月になりました。ときどき、あ、大きくなったなと実感することもあるものの、毎日のことだから、普通はそうそう違いには気づかない。けれども先日、友人が第二子を出産したので病院にお祝いとお見舞いに行ったとき、生まれたばかりの子どもの…
この前のエントリーで、10月に行われるトゥールーズでの発表に合わせ、辻邦生の文学における生と死について原稿を準備していることに触れておいた。当初はまとまりがつくだろうかと思っていたが、7月末の原稿締切に合わせて、とりあえず体裁は整えた格好だ。…
半年ほど前のエントリーで、博士論文の第1章をとりあえず仕上げたというのを書いたが、それから2章、3章と書きついで、4章をとばして、5章を書いたところだ。 コントにおいて実証的な宗教研究と実証主義的道徳の構築の関心(平たく言うと科学と政治の関…
いつだったか、妻が妊娠中、病院から帰ってきて「数日後にサージュ・ファムの人が家に来てくれるんだって」と言ったときには、思わず「サージュ・ファム?」と聞き返してしまった。「助産婦」に当たる単語だろうということは、文脈から想像がついたが、sage …
機会が与えられて、10月上旬にトゥールーズで死生学関連のちょっとした発表をすることになっている。話としては2月くらいからあったものなのだが、ちょうど今、原稿を書いている。TPOからして、フランス人相手にライシテの話を死と絡めてするというわけには…
クラクションの音や歓声が聞こえてくる。フランスがW杯サッカーでブラジルを下したので、街中おおはしゃぎなのだ。 今回のフランスの前評判はそこまで高くなかったのではないだろうか。スイス、韓国と引き分け、勝ち点2で予選最終戦を迎え、しかも2点差以上…
先週末、ジャンヌ・ド・フランドル病院から、雅恵ちゃん(まあちゃん)と一緒に、無事におうちに帰ってきました。前回のエントリーでは、たくさんのメッセージを頂いて、ありがとうございました。 昔からお天気には比較的恵まれる方ですが、まあちゃんが生ま…
本日2006年6月11日12時50分(日本時間19時50分)、リールのジャンヌ・ド・フランドル病院で、私たちの長女が誕生しました。身長47センチ、体重2950グラム、元気な女の子で、母子ともに健康です。 このブログでは(ふ)の妊娠について触れていませんでしたが…
リールと言えばこれ、というお菓子はなあに?とエシャンジュ相手のヴァレリーに尋ねたところ、「やっぱり、Meertのゴーフルかな」という答えが返ってきた。彼女とはうちに来てもらうたびに女二人してちょこちょことお菓子をつまみ合うのが常で、美味しいもの…
夜、何だか寝付けないまま、はっと思い出して、フランス2で深夜放送されると夜のニュースでちらっと見た、ラトル・ベルリンフィルの演奏会がまだやってるかなと、起き出してテレビを付けた。すっかり銀髪のラトルに、黒髪・ひげ・メガネの端正なお兄さんの…
先週は1泊2日でパリに出かけてきた。日本の研究グループのプロジェクトで、世界の中等教育の教科書のなかで宗教がどのように扱われているかを調べるというのがあるのだが、その現物を仕入れるのが第一の目的。第二の目的は、ソルボンヌの先生から書類にサイ…