2005-01-01から1年間の記事一覧

1905年法から100年も暮れて

1905年法発布からちょうど100年後の12月9日にでもあわせて、何かライシテ関係でまとまった記事でも書ければと思っていたが、コントにかかりきりで、かなわなかった。じゃあクリスマスにでもあわせて、リールのとある教会のことをライシテの歴史と絡めてレポ…

ドゥルーズ没後10周年で

もう2週間以上も前の話になるが、パリから帰った夫が、「ちょっと早いけど、クリスマスプレゼント!」と言って一冊の本をくれた。開けてびっくり、なんとドゥルーズの写真集である。・・・ドゥルーズが無条件に好きだという人はおそらく、お気に入りの彼の写…

最初の給水地点?

今日、ようやく博論の第1章に当たる部分に最初のまとまりをつけることができた。マラソンで言えば、最初の給水地点で水を手にしたが、まだ飲んではいないといったところか(しかしマラソンなら私の足でも4時間あれば終わるのだから譬えとしてあまりよろしく…

クリスマスの街並み

12月に入ると、リールの中心街やお店の多い通りはどこもイルミネーションで飾られて、一気にクリスマスモードになった。 ガンベッタ通りの入口は『BIENVENUE RUE GAMBETTA』と楽しげに飾られ、リベルテ大通りは流れ星の形のイルミネーションが通りの一番端、…

面談延期につき

フランスでの指導教官との今年最後の面談が来週にあって、なんとか博論の第1章を形にしてお渡ししたいと思って頑張っていたが、用事が入ってしまったとのことで来年に延期。拍子抜けしてがっかりしたような、どっちにしろこのペースでは間に合わないと思って…

個人主義はいいけれど

最近、何かとしなくちゃならない手続きが多すぎてまいっているのです。私はこっちに来て一年目なので、当然最初の年にはクリアするべきことがある上に、多少メディカルなことも加わって、なんとも面倒なことになってます。 今週中にCAFに提出しなければなら…

ライシテ関連のコロックふたつ

ライシテ関係で、また新たに2つのコロックに参加してきたので、それにちなんだよしなしごとについて覚え書きを残しておきたい。 ひとつは11月26日、ノール県の自由思想連盟がリール第一大学のエスパス・キュルチュールを借りて行ったもの。もうひとつは11月2…

学校が始まる その2 セミナー

さてドゥルーズの論文をあげるぞとさあ意気込んでリール第3大学の哲学科修士課程に入ったはいいものの、いざ始まってみたら、期待していた『差異と反復』の勉強会はなくなっていたし、担当教官のベルクソンの講義は来年からだし、それに何と言っても今期の…

安土城の屏風絵探し

支倉常長関係のことをゆるゆる知っていこうかと思い、遠藤周作の『侍』を読んだりしている。侍作者: 遠藤周作出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1987/07メディア: 単行本この商品を含むブログ (8件) を見る そんな状態だったもので、朝日・コムの次の記事が目…

ライシテについての討論会

先週の水曜日、ライシテについての討論会がリール第一大学で行われたので参加してきた。スタジー委員会を主宰したベルナール・スタジー、日本でも訳書が出ているジャックリーヌ・コスタ=ラスクー、ほかにもジャン=ポール・スコットやミシェル・ヴィアネス…

学校が始まる その1

さて念願の学校通いが10月末から始まっている。10月末?というのはさすがにちょっと遅い感じがするが、実際ちょっと遅れてしまったのでした。学校の事務的な登録が10月の半ば締め切りで、さすがに登録が済むまでは授業始まらないだろう、とたかを括っていた…

サン=トロペの日本人 1615−2005

先週末、2人でサン=トロペまで出かけてきた。ニースとマルセイユの中間に位置する、コート・ダジュールの港町である。夏はリゾート地として賑わうこの町に私たちが出かけたのは、390年前の昔を偲ぶイベントのためであった。 1615年という年は、実は日本人…

和洋折衷・今晩の鍋

最近ワゼムのアジア食品店で、大根と白菜と里芋を買い込んできた。うれしいので毎日お鍋のようなものを作っている。私は白菜に目がなくて、お漬物でもお鍋の具でも喜んでいくらでも食べてしまうけれど、さすがに二人で一つ丸々を食べきるには数日かかってい…

比較教育国際学会報告記

10月19日から21日まで、3日間に渡ってセーブル(パリ)の国際教育研究センター(CIEP)で比較教育国際学会が行われた。主催したのは、比較教育フランス語圏協会(AFEC)とCIEPで、大会のタイトルには「教育、宗教、ライシテ」が掲げられていた。参加しようか…

お金と時間があるわけないのに

数日ダンナさんがパリに出かけてお留守なので、仕方なく一人でぶらぶらすごしている。独身の頃は一人で過ごすのがほとんど苦にならなかったのに、一度結婚生活が始まると、一人になるとさて、何ともどうしたものか、とはたと考えてしまうような感じになった…

30にしてハマームに入る

この年になって初体験となると、だんだんネタがなくなってくるような気がするが、今日はハマーム初体験をしてきた。ご存知の通り、イスラーム圏で言うところのお風呂である。ここリールではワゼム地区にある。唯一リールで味わえる本物のハマーム、というの…

雨、時々晴れ

ここリールは天候が変わりやすく、しょっちゅう降ったりやんだりをくりかえしている。おととい、さきおとといと、時差ぼけのせいもあって夜中の3時ごろに眼が覚めると、外はかなり降っている様子だった。昨日の夜は夕方に少し降った後、夜にかけて晴れたよう…

確かな目と態度

詳しいことは措くけれども、フランスから戻ってくると日本で逆カルチャー・ショックを受けることがいろいろとある。日本語力も低下しているから、意志の方向性は伝えられても、微妙なことに描写が及ばないようで、自分でも歯がゆい思いがすることがある。こ…

大いなる時差ボケ

ダンナ様より一足お先にリールに戻ってきた。懸案だったコンセルヴァトワールの先生との面接も無事に果たせ、レッスンの日取りも決まって、予定を切り上げて早めに帰ってきた甲斐もあったかなと少しほっとしている。 一番気になっていたことが片付いたので、…

一時帰国中、宗教学会に参加

このブログはリール遊民夫婦の手記ということだから、リールから発信するのが本筋かもしれないが、実は先週から一時帰国中である。家内はビザの申請、私は学会と従兄弟の結婚式に参加するというのが主な理由である。 実は去年も、毎年この時期に行われる宗教…

リールの教会の聖人たち まとめ

さてそんなわけで夏の課題として聖人を調べつつ、リールの教会を順番に回ってみたのだが、やっぱり現代の教会のあり方というのは、宗教改革の波もあり、革命の波にももまれて、しかも国家としてのフランスは徹底した政教分離、つまりダンナ様専門の「ライシ…

シタデルの動物園

軽い朝ご飯ならそうでもないが、昼ご飯や夕ご飯の後は、意識が少し沈んで体が重くなる。精神面では、課題が山積みに思え、しかも普段以上に手強く見えてしまう。肉体面では、一番動きたくないときだ。だが、とにかく外に出るとか、動き出してみると案外、気…

夏の課題・聖人をたずねて

7月の半ば頃、お互いに夏休みの自由研究をしよう、という話になった。何をしようかな、あれも面白そうだしこれも面白そうだと悩んだまま、8月もあっという間に過ぎ、結局例によって私は夏休みの最終週に入ってやっとテーマを限定して、ようやく手を付け始め…

書評:宗教のあとの宗教性(2)

(承前)リュック・フェリーは、自分とゴーシェの位置取りについてどう見ているのだろうか。彼は、宗教や宗教性をとらえる立場には大きく3通りあるという。――第一に、フォイエルバッハ、マルクス、ニーチェ、フロイトの線で、宗教は半ば想像的・半ば理性的な…

書評:宗教のあとの宗教性(1)

Luc FERRY et Marcel GAUCHET, Le religieux après la religion, Paris, Bernard Grasset, 2004, 144p.アラン・ルノーとの共著『68年の思想』で五月革命の思想を担った潮流を反=人間主義として批判し、ユマニスムの再定位を図っている哲学者で、教育大臣を…

第4項としてのコントの実証主義

L’esprit synthétique développe la sympathie…(総合的な精神は共感を発達させる)―Auguste Comte オーギュスト・コントは一般的に思われているよりもはるかに深い哲学者だ、とアランは言っている。実際そう言わなければならないほど、コントは誤解されてい…

寝坊してサンドイッチ

昨晩は借りてきたビデオで映画鑑賞会。ビデオの映りが悪くて、画面がモノクロのがさがさになるたびに巻き戻ししていた上に、戦争の話で悲しい映画だったので、主人公の妻ロミー・シュナイダーの美しさもさることながら、二人とも少し疲れてしまった。ちなみ…

ペライアとルプーを聴きながらお茶

リールの街中に引っ越してきて、市民図書館も近所になった。本を借りる資格はすぐに作ったが、CDやDVDも借りることができるオプションを今日つけてきた。早速いろいろ借りてきたが、そのなかでMurray PerahiaとRadu Lupuが共演しているモーツアルトの「2台の…

アリコ・ドゥ・ムトン

昨晩のおかずは、アリコ・ドゥ・ムトン。(白いんげん豆と羊肉の煮込み料理) フランス料理の原点のような、と書いてありました。 パリっ子の食卓―四季の味90皿作者: 佐藤真出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1995/09メディア: 単行本購入: 1人 クリック…

窓からの眺め

窓から見る長めに飽きないようでありたいとつくづく思う。 20代の前半までは案外そういうことには平気だった。家のなかで過ごすより外を飛び回ることのほうが多かったからかもしれず、いろいろな情念が渦巻いて外界に目が向いていなくてもいくらでも時間がつ…