博士課程の頃から職業意識を

 今もけっして豊かではないが、博士課程の頃は本当に経済的に相当きつかった。その筋の人ならよく知っている、これに通ればと、いうのにも、10回ほど落ち続けた。
 以下の朝日の記事を読んでその頃のことを思い出す。こういう「手厚さ」が、人文社会系の院生にもちゃんと及ぶことを願いつつ。自分の頃もこうだったらなあとも思いつつ。
 また、ロスジェネ世代としては、この政策は、この恩恵に浴すことのできなかった人たちの奨学金返還免除規定の緩和とあわせて考えるのが、社会的公正というものだと思いつつ。

博士課程学生に「給与」年180万円 文科省概算要求へ

 博士課程の学生がする研究に対して年180万円程度の「給与」を支払う制度を創設するため、文部科学省は新年度の概算要求に約66億円を盛り込むことを決めた。職業意識をもって研究に専念してもらう狙いがあり、2千人程度の枠を見込んでいる。

 大学に博士課程の学生を対象にした「特別研究アシスタント」のポストを設け、公募や選抜で選ばれた学生と大学が雇用関係を結び、生活を支えるための実質的な給与を支払う。来年度にポストを設ける大学を募り、まず5年間にわたり支援する。

 博士課程の学生は、学費を払って研究を学ぶ一方、指導教官から共同研究者として実験などを任されていることが多い。現状では、博士課程に進み研究を続けたいと思っても、待遇やその後の進路への不安から、あきらめるケースもあり、新制度は優秀な学生を確保する狙いもある。

 博士課程の学生への経済支援では、個人を対象にした特別研究員制度があり、約4600人が月20万円の「研究奨励金」を受けているが、生活費を前面に出した支給は初めて。米国では科学や工学の大学院生の約4割が生活費相当の経済支援を受けている。

 ノーベル賞学者ら有識者による基礎科学力強化委員会も「学生への経済支援の拡充」を提言しており、同省は「日本の基礎科学力向上に必要な制度だ」と話している。

 総選挙で優勢が伝えられる民主党も、党政策集で「科学技術人材の育成強化」を掲げている。(行方史郎)