お金と時間があるわけないのに

数日ダンナさんがパリに出かけてお留守なので、仕方なく一人でぶらぶらすごしている。独身の頃は一人で過ごすのがほとんど苦にならなかったのに、一度結婚生活が始まると、一人になるとさて、何ともどうしたものか、とはたと考えてしまうような感じになった。基本的に一人遊びは得意なほうなので、する事に事欠くわけではないのだけど、最初何をすればいいのかよくわからないのである。最近は編物にはまっているので、よし、彼がいない間に一作仕上げるか、とか思うのだが、いざ彼がいなくなってしまうと何となく手がつかない。だからといってぶらぶら、ってことはないのだけど、私の場合極端で、家を出たくない日は徹底的に出ないで過ごし、一旦外に出てしまって動く気になっていると、用事を片っ端から済ませてしまおうという気になる。
今日はその後者の日だった。ポストで荷物を出し、学校の提出物を出し、授業予定を見に行き、図書館に本を返し、11月の前半まで10ユーロで映画が見放題だという映画館に足を運び、買い物を済ませ、とまあそれくらいだけど数日気がかりだったことは殆ど終わらせることができて、安心して週末を過ごせるなと思っていたところ。
フランスの手続きは、留学経験のある人は誰も言うけれど本当に時間がかかって面倒なのです。私としては、言われたとおりに書類が揃ってさえいれば何の文句も言われないのであまり苦には感じない。とはいえ、保険の申請のためには滞在許可書が必要で、滞在許可書は申請してから受け取るまでに約2ヶ月かかり、滞在許可書の申請には銀行の残高証明書が必要で、銀行の残高証明をクリアするだけの振込み・入金に2,3日かかり、さらに残高証明をもらうために銀行のムッシュ誰々とアポイントを取らなくてはならなくて、それをお願いするためにも一度銀行に足を運んだからつまり残高証明を手に入れるまでに3度も銀行に通わなくてはならなくて、ようやく手に入れた残高証明を提出するためにはコピーを取る必要があって、コピーを取っていたら学校の受付の空いている時間を3分回ってしまってその日は申請できず、とそんなのの繰り返しで、さすがにやれやれである。「ラーの鏡を取らないとこのモンスターは倒せません」といちいちそんな感じなので、一つ一つクリアしていく楽しみというのはある。
ところで今日私は大ポカをやってしまった。近くの映画館で10月の半ばから学生限定、映画見放題が通常30ユーロのところ10ユーロ!というのが貼り出してあって、よーしこの土日は映画を見ようと思って申し込みに行った。そしたら例によって、3種類の書類、身分証明書・学生証・銀行の口座明細が必要です、とのこと。銀行の明細??と思ったけれど、言われた書類は確か家にあったので、近所なので取りに行き、無事に申し込みをした。10ユーロ払って、やった、何を見ようかな、と思い、チケットを買って、開演までの間、申し込んで受け取った書類に何となく眼を通していた。わからない単語を辞書で引き引き、ん?銀行口座引き落とし?これは一体何のことだ??確かに10ユーロ払うのにどうして口座番号がいるのだろうと思ったのだけど、それにしても聞いてないぞ。ん?最低一年間だ?は?月々18ユーロ、一年間で216ユーロ?そーーゆーーことか!!!つまり私が申し込んだのは、一年間無制限で映画がみられるという特別なカードだったのです。30ユーロが10ユーロになったというのはあくまで申込金の話で、私の口座からは今後毎月お金が落ちる!なんということだ。私のような人間は本当に危険です。いくらフランスが書類にうるさいからって、銀行の口座番号まで要求するにはちゃんと理由があるのですよ。そんなわけで、一年間映画見放題になってしまいました。なんともはや。情けないやら嬉しいやら。
(超しょうもない話ですみませんm(_ _;)m ふ)