個人主義はいいけれど

 最近、何かとしなくちゃならない手続きが多すぎてまいっているのです。私はこっちに来て一年目なので、当然最初の年にはクリアするべきことがある上に、多少メディカルなことも加わって、なんとも面倒なことになってます。
 今週中にCAFに提出しなければならない書類があって、とにかく保険の申請が通るのをなるべく待って、無事Carte Vitalをもらってから、首尾よく提出しようと思っていたのに、肝心の保険の手続き(対CPAM)がままならない。最初は、OKですと提出書類をすべて受け取っておいてから、やれ何が足りないだ、何が必要だと、提出後2週間ほどしてつき返される、その繰り返しが2回ほど続き、その上、私はどうやら夫の保険に含まれることになるだろう、と言われた。その後いいかげん遅いので問い合わせに行ったら、ムッシューの言うことが「ご主人のは学生用のカードだから含まれることにはならないよ。まあもう一週間待ってみ。」話がどうしてこう人によって違うものか!一週間待ってみて、やっと書類が届いたかと思ったら、提出書類を全て返されて、「ご主人の保険会社(SEM)に書類を転送して下さい」とのこと。愕然!また最初からやり直しだ。二人とも学生だし、カードが別々になるか、やはり一緒になるかはどうも怪しいところで、最初の受付の人があっさり私の個人のカードを作ってくれさえすれば済んだのに、と思わないこともないが、どうやら今日それは夫の保険を代理申請してくれているCROUS(学生センターあるいは生協のようなもの)に問い合わせて判明した。どうやらやっぱり夫の保険(SEM)に含まれることになるらしい。でも今日SEMに電話して問い合わせたら、含まれるとは言ってなかったのにな。まあそれはCROUSの方から夫の分の申請がまだ届いてなかったからで、そのために今日CROUSに出向くことになったのだけれど。・・フランス在住暦の長い先輩夫婦方!果たして私は無事に夫の保険に含まれるのでしょうか。CPAMは歩いても行ける距離だったからいいのですが、SEMの事務所はパリなのです。しかも電話はなかなか通じない!
 はー。午前中は実にばたばたでした。朝から血をたくさん抜いて(血液検査)、あちこち電話をかけること数本、CAFに仕方なく保険加入がまだのまま申告に行き、その後CROUSに出頭。先日は滞在許可書が健康診断の出頭命令が下ってなかったせいでもらえず、これじゃあ労働許可の申請がまだできないやとうんざりしたばっかりなので、いいかげんにしてぇ、と叫びたい心境。えーん。(ふ)
      *   *   *
き「俺も一年目は待たされても楽しんでたけど、だんだんうんざりするようになったかな。ま、こんなもんだよ。フランスの事務はひどいよね。事務にかんしちゃ日本はすごいね、天国みたいだよ。まーでも、事務でたまに感じのいい人に会うと、それだけで嬉しくなるけどね。」
ふ「そそ、今日のCAFのお姉ちゃんはめっぽう優しくって、かなり嬉しかった。」
き「ふーん。」
ふ「血抜いてもらったお姉ちゃんもすごい上手だった。全然痛くなかったし。」
き「その人の前世、蚊だったんじゃないの。血抜いたときボルテージ上がってなかった?」
ふ「はは・・;;(苦笑)。さすがに。・・・私も鈍感になってるのかも。・・でも事務で親切な人はほとんどいないってフランス人の友達も言ってた。“Jamais !!”って。フランス人にとっても書類の手続きは時間かかって面倒だって。個人的に接する分にはたいていの人親切なのに。」
き「体系だってないんだよね。一人の個人が、組織全体がどう動いているかを把握していることがほとんどない。私の責任じゃない、とはよく言うけど、私達の責任です、なんてことをフランス人が言うのは、そうそう思い出せないよね。この前聞いたので面白い話があってね。聖書のフランス語訳と聖書のドイツ語訳を比べた話なんだけど、ドイツ語だと「私」と「私たち」の比率が1:4.5で出てくるのに、フランス語訳になると「Je(私)」と「Nous(私たち)」の比率が3:1になるんだって。この“私”の圧倒的な多さはすごい。フランス人は、『Moi, personnellement, je...』とか言うけど、ドイツ語だとそれ意味なさないらしい。いかにもフランス人が言いそうだけど、3回同じ事言ってんじゃん、てね。」
ふ「はは、おかしいね。実にフランス人が言いそう。そうそう、受け付けた人が責任もって繋いでくれるってこと少ないよね。シャルル・ド・ゴール空港でも遅れた荷物を受け取るのにさんざんたらいまわしにされたことあるよ。全く、どこかで手続き完了してくれないとほんとーに困りますから!責任者出してくれー!とか言ってもだめなんだよねえ。もうちょっとえらくなったりお金持ちになったりすると変わるのかな。」
き「サルコジに頼んで、その人やめさせるとか(笑)。」