クリスマスの街並み

リパブリック広場近くのメリーゴーラウ

12月に入ると、リールの中心街やお店の多い通りはどこもイルミネーションで飾られて、一気にクリスマスモードになった。
 ガンベッタ通りの入口は『BIENVENUE RUE GAMBETTA』と楽しげに飾られ、リベルテ大通りは流れ星の形のイルミネーションが通りの一番端、シタデル方面までずらーっと続いている。ヴュー・リール(旧市街)は石畳や古い建物、高級ブティックによく似合う上品な飾りつけで、例えばキラキラ輝く金色の電球がもみの木色のリースに控え目に絡まっていて、さすがと思ったものだった。通りごとにイルミネーションの模様が違うのが面白くて、新しい通りを歩くときは見入ってしまう。3時頃から映画を見た先週末は、ちょうど見終わって外に出たらすっかり暗くなっていて(5時過ぎはもう夜なのです・・。)、通りの金色のイルミネーションがぱーっと輝き、何だか別の世界に入り込んだみたいでうっとりしたものだった。
 お店もそれぞれに趣向を凝らしてにぎやかだ。プランタンのショーウィンドーでは赤やピンクのくまさんがプレゼントに囲まれて楽しげに手足を動かしているし、パン屋さんにはどこも、それぞれ飾りを工夫したブッシュ・ド・ノエルのケーキが並び始める。お花屋さんの片隅では金色や銀色に塗られた部屋飾り用の枝や、リース、ツリーなどが束になって置かれ、色鮮やかなパーティ用の花束が店頭に増える。(日本のようにポインセチアシクラメンばっかり、ということはまるでない。それより球根から緑の葉をすっと伸ばしたヒヤシンスや水仙の球根がたくさん並び始めるのが、季節感があっていい感じ。)
 

普段と違う気分を盛り上げるのはやはり、大きなメリーゴーラウンドや甘くていい匂いのゴーフルを売るスタンド、そしてグランド・プラスに再び設置された巨大観覧車。観覧車の入口はちょっとしたアミューズメント・パークのようになっていて、2mほどあるスノーマンやトナカイが美しい背景と一緒に置かれて、親子連れが一緒に写真を撮ったりしている。一つ一つの作りは案外雑だったり、それほどかわいくなかったりすることも多いのだけれど、とにかくこの飾りの量と色使い、音楽や雰囲気に圧倒されて、ほわーっとメルヘンチックになれるから不思議だ。フランス人、基本的に飾り付けはとても早くて上手だと思う。ぱぱーっと感覚でまとめて、同じものを作らない。
 ところで私たちは去年の1月にこの観覧車を試して見たけれど・・・これが日本じゃ考えられないようなスペクタクルで、とにかく早くてぐるんぐるん回るし(おそらく一周1分くらい)、日本のように安全対策で厳重なカプセル状になっていたり、とか、何かと見張っては注意する人がいたり、とかそういうことはありえない。窓はなく、吹きっさらしだし、個々のカプセルは中心の棒一本で吊るしてある感じなので、乗っている間動くと、揺れるのだ。周りの建物の屋根よりずいぶん高く上がるから、かなり遠くまで見渡せてしまうし、風はびゅうびゅうで寒いし、結構ひーえーって感じなのです。一回乗ると、ぐるんぐるんと普通に10周くらいは回してもらえるので、頂上の間はひえーこわいーとか言いながらリールの町並みが数秒間だけ見渡せ、ちょっと慣れてきてどこに何があるかとか家はどの辺だとかもっと見たくなった頃、ハイ終わりということになる。これは楽しい。ノエルまであと数日、街のイルミネーションが輝き始めるまだ少し明るい4時半から5時過ぎに、もう一度試してみたいものです。(ふ)