1周年記念日

 しばらくぶりの更新となってしまった。3月の第二週は博論に没頭し、第三週はアルバイトに出かけ、第四週は書類作成に勤しんでいた。そうこうしているうちに、あっという間に3月も終わりになってしまった。
 なかでも書類作成は、とある機関への応募にかかわるもので、これまで私はこことは本当に相性が悪く、書類を書き進めるうちに、過去の失望や落胆が甦って気が重くなったりもした。それも今日、とりあえず第一稿として仕上げることができた。
 それにしても、同じ文章を書くのなら、もうちょっとスピードがあがってこないと先がいろいろと思いやられる。このブログもいい文章練習になっていることは間違いないので、用事にかまけて更新頻度を落としたりすることのないようにしたいところだ。3月各週の状況も、追記という形でそのうち報告できればと思う。

 さて、本日は、私たちが入籍した日からちょうど1年に当たっていた。2週間前のアルバイトで思わぬ臨時収入が得られたこともあり、立派なレストランで食事をしようと数日前から2人で計画していた。
リールのなかでも、ヴィユー・リールと呼ばれる地区は、歴史と人の匂いがする石畳の街並みで、高級ブティックや高級レストランが立ち並んでいる。なかでも前々から気になっていたのは、「ユイトゥリエール」という魚介類中心のレストランで、アール・デコ風の外観と内装がいやがおうにも高級レストランの風格を漂わせている。去年の9月のブラッドリ(蚤の市まつり)のとき、店をオープン・カフェ風にして、カキを出していたのを食べたことはあったけれども、店内で本格的にディナーを食べたことはなかった。
今日は出かける前にhf氏の訪問を受けていて、「いやあ、僕たちもあそこで魚を買ったことはありますけど、さすがにレストランで食べたことはないですよ」と言う。そう言われて、少し不安になってきた。
こちらの予算はだいたい2人で100ユーロくらいのつもりだったのだが、そういうレストランに行ってもおかしくない程度のおしゃれをして店頭で値段を確認してみると、1人43ユーロのムニュはランチ限定。夜のムニュは1人142ユーロ。2人で食べてワインの1本も頼めば、2週間前の臨時収入がちょうどなくなるくらいの額である。突然気弱になった入籍から1年の留学生夫婦であった。
結局、すなめり鹿さんから以前に教わっていた鴨料理のレストラン「ドメンヌ・ドゥ・ランティヤック」に予定変更。「ユイトゥリエール」の店頭では42ユーロのアントレとか、68ユーロのプラとかを見ていたので、こちらの店でガチョウのフォア・グラが10ユーロそこそこのアントレとして出ているのを見て、安い!と思って早速頼んでしまった。あまり値段のことを書くと、こちらの懐事情が恥ずかしいので、店内の様子に話を移すが、内装は赤を基調としていて、入り口付近のスペースと、調理場を抜けた奥のスペースに座れるようになっており、雰囲気はパリでもよく見かけることができそうな昔ながらのビストロ・レストランといった感じである。言ってしまえば、高級レストランで食べるつもりがずいぶん庶民的な店に移ってしまったということだが、それでも2人で外食するのはおそらく半年ぶりくらいなので、気分的にはゆったりと満足しながら打ち解けた感じで、テーブル脇に設えられたトースターでパンが焼きあがるのを待ってフォア・グラを載せて食べた。プラにはコンフィ・ドゥ・カナールとマグレ・ドゥ・カナールを頼んで、交換しながら食べた。マグレの部分はプレで言うとブラン(ささみ)の部分に当たると思うのだが、油っぽいのはどうしてなのだろう。普段の夕食後は生活のペースにすぐに巻き込まれるのだが、外食すると夕食後の時間がゆっくり流れる気がする。ええと、しまりがないですがこの辺で。(き)