Meertのお菓子

リールと言えばこれ、というお菓子はなあに?とエシャンジュ相手のヴァレリーに尋ねたところ、「やっぱり、Meertのゴーフルかな」という答えが返ってきた。彼女とはうちに来てもらうたびに女二人してちょこちょことお菓子をつまみ合うのが常で、美味しいものが好きだろうということはよく分かっていたので、私もその言葉をすぐ信頼し、リール土産ならmeertに限る、とずっと思いこんではいたが、なかなかその高い敷居をまたげずにいた。
さてこの度実家から、これまた美味しいものが好きで、味見屋で、サービス精神旺盛で、新しいものに好奇心一杯の、細かい出費には糸目をつけない、どちらかというと浪費家の性質の母親が来ていて、普段は節約第一の私たちもありがたーく、母の好奇心に乗っかるわけで、今回は最初から、まあ多分にお土産やお礼としての目的もあって、メールのお菓子、メールのお菓子がリール土産には最高だ、とちょこちょこ吹き込んでいた。Meertは店構えも美しくて、ウインドウから眺めるだけでも、お値段を見ても、十分に飾ってあるお菓子に対する憧れを掻き立ててやまない。外から眺めて、お土産はこれで良さそうね、と22ユーロのクッキーの詰め合わせを見て、もちろんそれだけ納得する私たちではないし、母が食べて見ずに済む訳がない。こちらはそれがわかっているので(私も大分打算的になったなぁ・・と思いつつ)自分達からは出ない手を、母に伸ばしてもらって大満足で、細々とつまみ食い程度のクッキーとゴーフル、それに翌朝のパンを買ってもらって帰る。
メールのゴーフル、というのは、ベルギーのゴーフルやゴーフレット、ワッフルなどとおそらく同じ種類ではありながらまた少し違うもので、子供用の眼鏡ケースくらいの楕円形の薄いゴーフル生地2枚の間に、ブラウンシュガーとバターを練り合わせたもの(名前、忘れた!フランドルのお菓子の定番らしい。)が挟まっている、フランドル独特のものだ。前にヴァレリーが別のお店のものを買ってきてくれて、とても甘いのだけど、何となく後を引く感じが、印象に残って、また食べてみたいなあと思っていた。母にとってもこれは初めての味で、曰く、「フランス版、あんこ入り生八橋、という感じ?」生地の薄くてなま柔らかい感じ、ブラウンシュガーの色と甘さと、シナモンの香り、案外上手いたとえかもしれない。他に買ったクッキーも、クロワッサンも、さすが18世紀以来質を誇るの名店だけあって、よい材料で、丁寧に作られたという感じでどれも美味しかった。
写真は、晩ご飯後のお散歩に出かけた母が、シャープ最新式のカメラつき携帯でつい今しがた撮ってきたもの。とても10時前とは思えない明るさ!こんなに美しいお店は、ちなみにここの他あまり多くはありません。Vieux Lille随一です。(ふ)