オーギュスト・コント賞

 メールをチェックしていると、予想もしていなかった朗報が。
 去年の11月末に口頭審査を経たPhD論文が、Maison d'Auguste Comte(パリのムッシュ・ル・プランス通りにあり、かつてコントの住居で、現在は研究資料館)から、オーギュスト・コント賞をいただけることになりました。
 博論執筆中は一度もこの研究所で資料を集めたりしたことはなかったのだけれど、書き終えてからコントの人類教の死者崇拝や19世紀パリの墓地の状況などに興味をもって訪れたときに、受付の方に研究内容を聞かれ、こんな賞があるから応募してみたらと言われたのがそもそもの発端。
 「コントと実証主義」「19世紀の科学史・科学哲学」「19世紀の政治・社会科学」のいずれかをテーマにした博論が審査の対象になっていて、たしかに19世紀のライシテと宗教をテーマとした私の論文は1番目と3番目のカテゴリーに重なるところはあったけど、まさか賞がもらえるなんて期待はしなかった。審査の対象は、2000年から出されたテーズとあったし、すでにある程度の数が出ていると聞いていたので。
 嬉しいことに賞金もあるのですが、うーん、これが授賞式に出席するためにフランスに行って帰ってくるとちょうどなくなりそうな額なのです。

 ちなみに、ブログの更新は久々となりましたが、3月頃より、この博論を日本語にする作業をはじめています。大幅に圧縮しなければいけないということ、日本の先行研究をどう組み込むかということ、laïque, laïcisationなどをどういう日本語でどう説明しようかということなどで悩んでおり、作業は遅々としてなかなか進みませんが、最初の難所を切り抜けたら、もうちょっと勢いがつくかもしれません。