術後3週間−ひとつの岐路?

 術後3週間を迎えました。
 私は手術後はじめて電車に乗ったり、東京の街を闊歩したりして、比較的動けることがわかりました。1時間程度の学問的な発表も普通にこなすことができ、少し自信をつけました。
 香凜は、外から様子を見るかぎりは、いい経過をたどっています。管の量は確実に減り、点滴のラインから入る薬も減っています。泣き声にも張りが出てきています。母乳も再開となり、上手に吸っています。つい先日までは、肺に水がたまっているとのことで心配していましたが、離尿剤とステロイドが効いたらしくだいぶ落ち着き、おそれていた肺炎も陰性と出ました。
 ただ、ひとつ気になる値があります。フェリチンという値です。炎症の疑いを示す値ということなのですが、ずっと高止まりのままで、見ようによっては上昇傾向にあるのです。正常値は3〜59なのですが、香凜の場合は500台〜600台あって下がってこないということで、先週の後半からこの値を下げるためのステロイドを打ちはじめました。ところが、この薬にもかかわらず、かえって数値は703、804、891と上昇し、いったん803まで落ちたものの、832、884という推移を見せています。これが1000を超えると危ないらしく、先生方も心配しながら行方を見守っています。かつて、劇症型の子で、このフェリチンの値が急に上がり、劇症肝炎を再発し亡くなったケースがあるようです。今の香凜のフェリチンの値と、いまだに不明な原因疾患のあいだに因果関係があるとすると、かなり厄介で深刻な展開になるかもしれません。この値は上がりかけなのか、それともぐずぐずとなかなか下がってくれないのか、ここにひとつの岐路があるようです。大したことがないものであってほしいと祈るばかりです。
 逆に、今気になるのは、煎じ詰めればフェリチンの値だけだとも言え、これが下がって落ち着けば、外来でもいいくらいだと先生方はおっしゃっています。つまり「退院」の二文字が見えてきます。今の香凜の元気で、何とかフェリチンの値が下がり、落ち着いてほしいものです。