術後1か月

 手術から1か月が経ちました。肝移植後、レシピエントがたどる経緯は人それぞれで、一概に言えないのですが、それでも一般的なケースとしては、最初の1週間がいろいろあって、それがだんだん落ち着いてきて3週間くらいで退院というのが比較的多いケースのようです。香凜は、見た目は元気なのですが、やはりフェリチンの値が気になります。高フェリチンは、高サイトカインに結びつき、それがマクロファージ、さらに進むと血球貪食症候群になるかもしれないと言います。詳しいことは専門外なのでよくわかりませんが、組織球やTリンパ球というのがあって、それは正常なうちは外からの異物をやっつけるものなのですが、マクロファージや血球貪食症候群になると、体内のよいものを攻撃してしまうというもので、血球貪食は字面からも想像できるように、血球を壊してしまうものです。そうなってしまうと、輸血が恒常的に必要で、骨髄移植なども考えなければいけないようです。肝移植後の予後はきわめて不良、助かったケースはひとつもないそうです。先生方はフェリチンが1000を超えるとまずいというので、先手を打つ形で数日前、組織球のTNF-αというのを狙って、レミケードという薬を投入しました。それは翌日にすぐ効果を示し、800台のフェリチンの値は600台まで落ちたのですが、その次の検査ではまたあがってしまい、1、2週間単位で様子を見ていく必要がありそうです。
 私はボベロ氏の来日にともない、東京に出てきています。25日の講義では質疑応答の通訳をやりました。改良すべき点はありましたが、まずまず問題なくこなせました。自分でも85点くらいあげられると思います。もっとも、自分がよく知っている内容で、ボベロ氏が言いそうなこと、言わなそうなこともそれなりにわかっていての通訳ですけれども。もう少し自分から離れた内容で、よく知らない人が喋る内容であっても、これくらいできるようになりたいと思います。今日28日はシンポジウムで、業者の同時通訳がつきましたので、私自身は実質的にはたらいていませんが、登壇者の発表を全力で聞いたらさすがに疲れました。レセプションでは、シャンパンを1杯だけ飲みました。これは術後初めてのことで、おそらく私は成人になってからこれだけ長いあいだアルコールなしで過ごしたことはないはずです。