フランス語教授資格取得

 私は9月に3週間ほど東京に滞在し、日仏学院のDEF(フランス語教授資格)FLE(外国語としてのフランス語)の研修に通いました。これはフランス大使館が後援し、日仏学院とフランスのメーヌ大学が共同で企画したもので、日本でDEFとFLEが取得できる新しいシステムです。研修生は日本人とフランス語圏出身者がほぼ半分ずつで、全員で17名いたのですが、私たちは第1期生ということになります。
 9月の研修後は、10月に20枚の論文を書き、さらに10月末に発音・綴り字・文章の陳述分析の筆記試験を受けました。その結果発表が今日だったのです。結果は見事合格。しかも成績は「トレビアン」で、トップ3でした。もっとも、フランス語が母語であるかないかで、点数のつけ方も甘かったり辛かったりするのではないかと思うのですが・・・。
 10月と言えば、香凜が生まれてから怒涛の日々を送っていたころで、我ながらよくできたなと思っています。20枚の論文の方は、まあさっさと片づけたというか、香凜の生まれる前にほとんど完成させておいたのですが、試験勉強の方が難物でした。
 私は宗教学の出身で、そこからフランスのライシテ研究に向かったという経緯ですから、フランス語教授法を体系だって学んだこともなければ、発音や綴り字を文法学者のように研究したこともありません。いくらライシテの研究を進めても、archiphonèmeとかgraphème muetとかerreur de morphogrammeとかfait énonciatifなんて出てこないわけです。
 これはきちんと勉強しなければ試験に通らない。けれども香凜が生まれてから転院だ、日参でお見舞いだ、面談室で先生から先の暗い話を聞かされる。時間も取れなければ、精神状態もなかなか普通ではいられない。そういうなかでよくできたなと思うのです。研修生のなかには仙台在住のジルというのがいて、試験の前に彼と2回ほど会って一緒に勉強できたのがよかったです、本当に。
 試験日は10月26日だったのですが、実はその前日は、自治医大に日帰りで行ってドナーの適性検査を受けてきました。そして当日は、スーツケースに荷物を詰め込んで会場に出かけ、試験が終わるなり自治医大に直行して入院、あれこれ説明を聞いたり、書類にサインしたり、下剤を飲んだり、へその下のおけけを剃ってもらったり(笑)して寝て、次の日の朝に手術というなかなかハードなスケジュールだったのです。日程的にうまく都合がつけられたのは、病院の先生方が合わせてくださったからで、最低限の勉強時間が確保できたのは家族のおかげで、効率的に勉強できたのはジルのおかげ。それだけに、ちゃんと結果が出せてよかったなと思ったのです。というわけで、この日もレセプションで1杯だけシャンパンを飲みました。