「ル・ドゥヴォワール」紙創刊100年

Marcel Gauchet

 ケベックを代表する「ル・ドゥヴォワール」紙が創刊100年を祝ったというのが、1月11日の同紙の一面トップを飾った。「俗」に「高級紙」と言われるもので、フランスだと「ル・モンド」に相当するものと言ってよいだろう。
 一面の下に見た顔があると思ったら、マルセル・ゴーシェがインタビューに応じている。100周年記念企画の一環のようで、タイトルは「メディアの霧から脱け出すこと」(Sortir du brouillard médiatique)。ネット記事はこちら。
 趣旨はだいたい次の通り。今日ほど情報にあふれた世界はないが、肝心なことは誰もよくわからないまま次の情報に塗り替えられ、そこには文脈の奥行きが感じられない。新聞という「書く」ことを生業としているメディアの使命は、情報を伝えるだけでなく、洞察のある分析をすることだが、それも怪しくなっている。しかし、だからこそ、信頼できる人間が情報をうまく整理し説明するプロの仕事が求められている。社会に追随し、世界を覆い隠してしまう「第一段階のメディア」があるとすると、〈本物〉のジャーナリストは「第二段階のメディア」を目指すだろう。ル・ドゥヴォワール紙の記者は、それを「情報の世界の再魔術化」と名付けている(réenchantement du monde de l’information)。
 Sortirとか、Enchantementというキーワードでまとめるところが、心にくいですね。