思ったより低くなかった

 鳩山政権が幸福度調査を行なうということ、その数字がどうなるかということに注目していました。「10点満点で6.5」ということで、思ったより低くないかも、というのが第一印象。
 単純な比較はできないけれど、ケベックで2007年に行なわれた調査では、ケベコワ(ケベック人)の実に88%が「幸せ」と回答しています(小畑精和・竹中豊編『ケベックを知るための54章』明石書店、2009年の「まえがき」で知りました。編者が引いているのはL'annuaire du Québec 2008)。
 同じような調査があったら、日本だと50%割るんじゃないかなと感じていました。基準が違うから、何とも言えないことは確かでしょうけれど。
 それにしても、幸福度の国際比較は、言葉や文化の翻訳の問題があるから簡単にはいかないでしょうね。きちんとできたら、もちろん面白いと思いますが。
 そういうわけで、よくよく考えると、6.5という数字は高いのか低いのか、あまりよくわかりません。
 でも、「低くないかも」と最初に思ったということは、私の印象では、この時代のこの社会にあって、いろんな意味で「振り回されていない」人が割といるんだなということです。合ってるかどうかはわかりませんが。この感想は、自分自身もいろいろ振り回されちゃいけないなと思っている、ということでもあります。

日本人の幸福度は10点満点で「6.5」 内閣府調査
「日本人の幸福度は、10点満点で6.5」――。内閣府は27日に発表した国民生活選好度調査で、自分がどれだけ幸せと感じているかを数字で示す「幸福度」を発表した。鳩山政権は今回の調査結果も生かして、国内総生産(GDP)などの経済指標に代わる国民の幸せの度合いを示す新たな指標づくりを進める方針だ。

 調査は3月に15歳から80歳未満の4千人を無作為に選んで実施。「とても幸せ」(10点)から「とても不幸」(0点)まで11段階で幸福度を質問した。その結果、回答を寄せた2900人の平均は6.5点。11年前に行った同様の調査の6.3点を上回った。2008年の欧州28カ国の平均は6.9点だったという。

 男女別では、女性の方が幸福を感じており、年代別では30代の幸福感が強かった。

 幸福感を高めるために政府が目指すべき目標を21項目の中から選んでもらったところ、「公平で安心できる年金制度の構築」が最も多かった。現状の政策で最も満足度が低かったのも「年金」だった。「安心して子どもを生み育てる社会の実現」を求める意見も多く、福祉や子育て政策の充実が幸福感に強くつながっていることがわかった。

 目に見えない「幸福度」を指標化して政策に反映させるのは、「新しい公共」づくりと並ぶ、鳩山由紀夫首相肝いりの取り組み。「新しい公共」は、官が担った街づくりなどの公的分野を、地域に暮らす人にも担ってもらうことを目指す。自分がかかわれる居場所を見つければ幸福度が高まるという考え方で、互いに表裏一体の関係だ。

 だが、今回の調査では「新しい公共」をイメージする「市民が公益を担う社会の実現」は、政府が目指すべき目標としては21項目のうち17位と低迷した。

 25日にあった「新しい公共」を考えるフォーラムで、首相は「ボランタリー経済新しい公共が幸福度を高めることに確信を持っている」と述べたが、結果を聞いた首相は「幸福度とお金、経済の部分が結びついており、ボランタリー経済が多くの国民の意識にないことがわかった」と認めざるをえなかった。周辺には「だから子ども手当みたいな政策がうけるのか」と漏らしているという。(岩尾真宏)