下野新聞の記事

 下野新聞の記者から、「明るい話題なので改めて」と取材を受けていたのが記事になりました。

「本当によく頑張ったね」 国内最年少の生体肝移植成功で両親(1月15日 05:00)

 「『本当によく頑張ったね』と娘に言いたい」。自治医大付属病院で国内最年少(生後十七日)の生体肝移植手術を終え、二〇〇八年末に退院した仙台市泉区日本学術振興会特別研究員伊達聖伸さん(33)と妻史恵さん(32)の次女香凜ちゃん。「多くの人に感謝しながらこの子と生きていきたい」。家族がつないだ小さな命は、少しの不安と大きな希望の中ではぐくまれている。

 「吐いた母乳の中に血がまじっていたの」。出産翌日の〇八年十月十一日午後、仙台市立病院。香凜ちゃんの異変に最初に気付いたのは史恵さんだった。

 血尿、採血した部位の血が止まりにくい凝固異常。繰り返す検査にも原因は特定されず、生後四日目に同市内の宮城県立こども病院へ。ようやく分かった診断名は、原因不明の劇症肝炎だった。

 「なぜ、うちの娘が…」。この言葉が聖伸さんの胸中を何度も突き上げた。「医師から『内科的な治療は難しい』と言われ、娘を救うには生体肝移植しか道はない。たまたま友人とネットの情報から自治医大で小児肝移植をやっていることを知り、先生にお願いのメールを書いたんです」

 新生児の肝移植手術はリスクが高く、原因不明の劇症肝炎は術後の生存率も良くない。ドナー(臓器提供者)を望んだ史恵さんは産後間もないため候補外に。「それなら自分が」。幸い聖伸さんの肝臓に問題はなかった。

 同年十月二十七日、通常の三分の一から五分の一程度に萎縮していた香凜ちゃんの肝臓二五グラムを全摘出。そこに聖伸さんの肝臓の一部九五グラムを移植した。手術は計約十五時間。世界の生体肝移植でも生後六日、十六日に次ぐ三番目の年少記録となった。

 「ミルクの飲みがすごくいいんですよ」。哺乳瓶を口にした香凜ちゃんを抱えながら、史恵さんが優しくほほえむ。今月上旬、同医大構内にある患者家族用の宿泊施設。長女の雅恵ちゃん(2つ)も妹が元気になってうれしそうだ。

 新生児の治療成績は必ずしも良くない。「カリンは実を付けるまでに何年もかかるという。香凜も同じように、年月をかけて元気になってほしい」。伊達さん夫妻は、そう願っている。

 一言だけ言わせてもらうと、記事になるとそうなるというのはわかるんですが、私も妻も「なぜ、うちの娘が…」と自問することはあまりなかったです。転院してNICUに入ったとき、他にも大変な赤ちゃんを見たためだと思います。