2010-01-01から1年間の記事一覧

ライシテ関連新刊――ルネ・レモン『政教分離を問いなおす』

ルネ・レモン『政教分離を問いなおす』が青土社より刊行されました。工藤庸子先生の肝いりの本ですが、私もお手伝いをさせていただきました。政教分離を問いなおす EUとムスリムのはざまで作者: ルネ・レモン,工藤庸子,伊達聖伸出版社/メーカー: 青土社発売…

自由放任型の自由主義の欠点を克服する新自由主義

ウィリアム・ローグ『フランス自由主義の展開』ミネルヴァ書房、1998年(原1983年)を読んでいる。 フランス第三共和政の創設は、政治思想的に言うと、レッセ・フェール的な自由主義を拒み、個人の自由を前提としながらも、民主主義的な共和政としての国家の…

アンチ多忙

久しぶりの更新になった。この間、ありがたいご縁をいただいたり、ちょっとした朗報が届いたり、残念な通達をもらったり、大変だった時期の記憶が戻ってきて何となく陰鬱になったりした。良くも悪くも人並みなのだと思うが、揺らがぬ主体が自分のなかにある…

スタジ委員会の「悲劇」を繰り返さないために

アクチュアリティを「追う」には反応が遅すぎるが、フランスでは、1月末に下院の調査委員会が「ブルカ禁止」の提言を盛り込んだ報告書を提出した。 あとでネット記事を紹介しようと思うが、日本のメディアでも話題になっている。 2004年の法律は学校でのス…

宗教と民主主義研究会

前回のエントリーでは『民主主義と宗教』合評会の宣伝をしたので、相当紛らわしい印象を与えるはずだが、「宗教と民主主義研究会」とは、去年の12月に民主党のなかに発足したもので、宗教法人への課税を検討している。端的に言えば、政権交代前の自民党にと…

『民主主義と宗教』合評会@南山大学

先日のエントリーで刊行をお知らせした『民主主義と宗教』ですが、下記のように、2月26日、南山宗教文化研究所(南山大学)にて、合評会が行なわれます。 共訳者の藤田さんのブログ、評者の粟津さんのブログ等ですでに紹介されていますが、私のほうからも宣…

雪のなかの温泉のちケベック

2月4日までの懸念事項をとりあえず終え、ひとつ遅れていたものに目処をつけたので、ちょこちょこした仕事は溜まっているのだけれど、疲れも溜まってきたということで、家族の「この雪の週末、どっか行こーよ」の声にも押し切られ、作並温泉に浸かりに行く…

英語強化週間

研究においても、日常生活においても、今の段階では使い物にならない、ということにかけては自信のある(自慢するな!)私の英語力。フランスから帰国して、最初に指導教官からいただいたありがたいお言葉が、「じゃ、次は英語がんばらないとね」だったので…

『民主主義と宗教』

このたび、トランスビュー社より、マルセル・ゴーシェ『民主主義と宗教』(伊達聖伸・藤田尚志訳)が刊行されました。民主主義と宗教作者: マルセル・ゴーシェ,伊達聖伸,藤田尚志出版社/メーカー: トランスビュー発売日: 2010/02/02メディア: 単行本購入: 1…

小児生体肝移植に見る現代日本人の死生観・宗教観

という研究をはじめようと思っている。自分自身、小児生体肝移植のドナーとなり、この経験は非常に個別的なものだから、胸の内に取っておこうという思いのほうが最初はむしろ強かったのだが、時間とともに、自分の経験から少し距離が取れるようになってきた…

フレッシュ・プリキュアは次週で最終回

私は自分の属する世代の割には、オタク的要素は相当希薄だと思うのだが、そんな風に思われるかもしれないというエントリー。 私がはまったというより、長女が見ているのだが、明るい「フレーシュ、フレーシュ」の歌声が「フレー、フレー」にも聞こえて、割と…

グローバル化の時代こそフランス語を

TV5が日本に上陸しそうだという記事を読んで驚き、そしてやはりちょっと嬉しくなった。 日本人が現代世界をきちんと見ていくためには、英語ともうひとつの言語が必要だろうというのが数年前からの持論。英語コンプレックスの裏返しでもあるけれど(笑)。 …

政教分離で違憲判決

北海道砂川市の政教分離訴訟、もちろんライシテの研究者として、日本宗教史をフィールドのひとつとしている者として、また宗教学に携わっている者として、どのような判決が出るか、数日前から注目していたのだが、そして鋭い洞察をしてみたり、気の利いたこ…

中等教育現場と文部官僚の行き来について

1月10日の朝日新聞の教育欄に「「こうなるはず」は通じない――キャリア官僚から中学校長に転身して」と題して、浅田和伸さんのことが取り上げられていた。文科省のキャリア官僚が、都内の区立中の校長になり、距離感を確かめながら、いい意味での試行錯誤を繰…

時差ボケと不肖の弟子

帰国してから何日か経つが、14時間の時差はきつく、夜は1時間半くらいで目が覚めてしまい、昼のシエスタが3時間くらい続く。 白水社の出版案内を見ていて、リールでの恩師ジャック・プレヴォタ先生の『アクシオン・フランセーズ』が刊行されたことを知り、早…

研究活動

ケベックに来て、ちゃんと研究活動しているのだということも書いておこう。 CEETUM(モントリオール大学連合民族研究センター)は、モントリオールに拠点を置く各大学の研究者が集い、さまざまなプロジェクトを行なう研究センターになっていて、出版物の点数…

「ル・ドゥヴォワール」紙創刊100年

ケベックを代表する「ル・ドゥヴォワール」紙が創刊100年を祝ったというのが、1月11日の同紙の一面トップを飾った。「俗」に「高級紙」と言われるもので、フランスだと「ル・モンド」に相当するものと言ってよいだろう。 一面の下に見た顔があると思ったら、…

どうぶつえん

(妻の(ふ)、長女・次女は、パパがケベックにいる間東京の実家に戻っております。)1月11日、くもり。まあちゃんかりんたんと、うちの両親、仲良しのMちゃんHちんと、大人子ども総勢7人で、上野まで。お目当ては動物園。 まあちゃんは実は動物園と縁が深…

モントリオール雑記

モントリオールに来ている。初めての街で、まだ着いたばかりだが、すでに結構気に入っている。 心配していた気温は、耐えられなくて途方に暮れるほどではない。現地に着いたらすぐに本場の耐寒のもの(上着、帽子、靴)を揃えなければだめかと想像していたが…

形だけ整えても

上京。明日からケベック。今回悩んだことにつき、相談相手になってくださった先輩にお会いする。すっかりご馳走になってしまう。ありがとうございました。 去年の政権交代は、日本の民主主義や市民の意思の成熟だとか、これで日本も二大政党制だとかマスコミ…

ICレコーダーを買う

コンピューターやAV機器の扱い方は、同世代と比較すると相当下手な部類だと思う。 某学会から、学会発表をもとにした論文を書くよう催促の手紙を郵便でもらっているのだが、そのなかにCD−ROMが入っていた。開いてみると、自分の発表を録音したものだ。そうい…

まだそわそわ

降って湧いたような話のほうに、お断りの電話をする。ちょっともったいなかった気もするが、足場を固めることが先決。ケベック行きも3日後に迫っているではないか。 今回の研究旅行では、CEETUM(モントリオール大学連合民族研究センター)を中心に、いちお…

場の空気からエイジェンシーへ

重要な決断のとき、最後は自分と言っても、その自分というのは、実はいかにも怪しい。今回のこととは状況が違うが、前にもやや似た経験があって、そのときも自分だけでは決まらなかった。状況的な自分というふうに文脈化したところで、やはりこうだろうと納…

耳が痛いような話

自己実現には、ある部分を伸ばすために別の部分を諦めるといった方向性もあれば、伸びうる可能性をできるだけ多様に繰り広げるという方向性もあるはずだ。そう考えると、外からの刺激に素直に共鳴することは、真っ当な反応であるようにも思えるが、いかにも…

新年の抱負

「人生の選択」になるかもしれないものを抱えながら年が明けた。降って湧いたような話といえばその通り。燻りや蟠りをうまく晴らし、解放していくには、新しい選択もありかもしれない。自分が通路になって、風通しがよくなるのであれば、それもよいと思う。…